新たな伝説の誕生
ラスベガスのHorseshoeとParis会場で歴史的瞬間が訪れた。Michael “The Grinder” Mizrachiが9,735人の大規模フィールドを制し、賞金1,000万ドルとメインイベントのブレスレットを獲得。すでに7つのWSOPブレスレットと、史上最多となる4度の50,000ドルポーカープレイヤーズチャンピオンシップ優勝を誇る彼にとって、この勝利はキャリアの集大成となった。
さらに驚きだったのは、優勝直後にMizrachiが即日ポーカーホール・オブ・フェイム入りを果たしたこと。通常の投票手続きを経ずにその場で殿堂入りが発表されるのは極めて異例だ。
決勝テーブルは史上最速の幕切れ
今年の決勝テーブルはわずか79ハンドで決着。これは過去20年間で最短記録だ。最終日はわずか20ハンドで終了し、Mizrachiが完全勝利を収めた。最後の一戦では、John Wasnockのツーペアに対し、Mizrachiがフラッシュを完成させて勝利を確定させた。
2025 WSOPメインイベント決勝結果
| 順位 | プレイヤー | 国籍 | 賞金 (USD) |
|---|---|---|---|
| 1 | Michael Mizrachi | アメリカ | $10,000,000 |
| 2 | John Wasnock | アメリカ | $6,000,000 |
| 3 | Braxton Dunaway | アメリカ | $4,000,000 |
| 4 | Kenny Hallaert | ベルギー | $3,000,000 |
| 5 | Luka Bojovic | セルビア | $2,400,000 |
| 6 | Adam Hendrix | アメリカ | $1,900,000 |
| 7 | Leo Margets | スペイン | $1,500,000 |
| 8 | Jarod Minghini | アメリカ | $1,250,000 |
| 9 | Daehyung Lee | 韓国 | $1,000,000 |
チャンピオンの言葉
Mizrachiは試合後、興奮冷めやらぬ様子でこう語った。
「とんでもないハンドだった。何日も戦って、もうカードがよく見えていなかった。相手がクラブのエースを持っていると思ったり、完全にドローなしだと思ったり。実際はツーペアを持っていたなんて気づかなかった。」
さらに彼は続けた。
「メインイベントの優勝こそが最後のピースだと思う。やりたいことはすべてやり遂げたし、殿堂入りも果たした。引退なんてあり得ない。来年も戻ってきて、さらに多くを狙うよ。」
波乱と復活劇
Mizrachiの道のりは決して順調ではなかった。Day1でチップリーダーとなったものの、Day8には残りわずか2BBまで追い込まれた。しかしリバーの幸運で生き延び、Day9にも再びリバーで逆転。決勝日を迎える時点で全体チップの75%以上を握っていた。
その勢いに、Daniel NegreanuやPhil Hellmuthは「もしMizrachiがメインイベントに勝つなら、その場で殿堂入りすべきだ」と公言。WSOP副社長Jack EffelやPhil Ivey、Brian Rast、Jen Harmanらのレジェンドが集い、実際にその場で殿堂入りが発表された。
Mizrachiはこう語った。
「信じられない。みんなに感謝したい。本当にふさわしいと思う。来年を待ってもよかったけど、これでさらにモチベーションが高まった。」
Day10:怒涛の連続バスト
決勝日はMizrachiが4億4,550万点を持ってスタート。開始1ハンド目でKenny HallaertがAQでオールインするも、MizrachiのKJがターンでヒットし、4位に終わった。続く2ハンド目ではBraxton Dunawayの10-6を、MizrachiのA-10がフラッシュで退け、あっという間にヘッズアップに突入。
ヘッズアップ:シンデレラストーリーの終幕
最後に残ったのは、キャリア賞金わずか14万ドルのアマチュア、50歳の投資コンサルタントJohn Wasnock。プロの巨星Mizrachiとの「大衛対ゴリアテ」の戦いとなった。Wasnockは粘り強く戦い、ブラフを見抜く場面もあったが、流れを変えることはできなかった。
第79ハンドで運命は決した。WasnockがAと9でツーペアを作りオールイン。しかしMizrachiはクラブの10-3でターンにフラッシュを完成。リバーで逆転は起こらず、Wasnockは準優勝に終わった。
「これだけ多くの人が応援してくれた。彼らを失望させるわけにはいかなかったんだ。」Mizrachiは歓喜に沸く仲間たちと喜びを分かち合った。
永遠に刻まれる勝利
今回の決勝での圧倒的な勝利は、近年のメインイベントでも屈指の支配的なパフォーマンスとして語り継がれるだろう。Horseshoeイベントセンターには彼のバナーが掲げられ、永遠に記録される。
「みんなに『1時間で終わらせる』と言っただろう。」Mizrachiは試合後に笑いながら語った。「すべてが自分の思い通りに進んだ。勝つ運命だと確信していた。」
7つのブレスレット、4度のPPC制覇、そしてメインイベント優勝。Michael “The Grinder” Mizrachiは、ポーカー史に不滅の名を刻んだ。







