ドイツのテニス界のレジェンド、Boris Beckerが、イギリスで服役中にポーカーで借金を抱え、受刑者から脅迫を受けていたことを明かした。6度のグランドスラム優勝を誇る57歳の元王者は、外部の友人が送金してくれなければ、命の保証はなかったと語っている。
栄光のキャリアからポーカーの世界へ
Beckerは1999年に現役を引退し、ウィンブルドン3度の優勝を含む輝かしい実績を残した。引退後はポーカーに情熱を注ぎ、現場トーナメントでの獲得賞金は$111,000を超える。国際大会にも数多く出場し、さらに長年にわたりポーカーブランドのアンバサダーを務めた。
法的トラブルと収監
Beckerの法的問題は2002年に始まった。当時、居住地を虚偽申告し€1,000,000以上の税金を免れたとして、ドイツの裁判所から有罪判決を受け、罰金刑が科された。
そして2022年4月、ロンドンの裁判所は破産手続きで£2,500,000相当の資産を隠したとして30か月の禁錮刑を言い渡した。最終的には8か月で釈放されたが、その間に行われた刑務所内のポーカーが大きな危険を招いた。
刑務所でのポーカーゲーム
自伝のプロモーションでBeckerはドイツ紙『Süddeutsche Zeitung』にこう語っている。
“I had played poker professionally after tennis, so I thought, what could go wrong? But I was playing with real criminals, who came into my cell and threatened me if I didn’t pay.”
（テニス引退後はプロとしてポーカーをしていたので、何も問題ないと思っていた。しかし相手は本物の犯罪者で、彼らは私の独房に入ってきて『払わなければどうなるか分かっているだろう』と脅してきた。）
Beckerは、いわゆる“Romanian criminals”と呼ぶ受刑者グループに£500の借金を作ったという。プロのポーカーの世界では大した額ではないが、刑務所では話が違った。
“These were people who came into your cell and slapped you across the face.”
（彼らは独房に入り込み、平手打ちをしてくるような連中だった。）
Beckerは自力で返済できず、外部の友人に送金を依頼するしかなかった。
“If I hadn’t paid, my life would have been in danger.”
（もし払わなければ、命が危なかった。）
出所後も残る影響
わずか8か月で釈放されたものの、Beckerは刑務所生活の影響が今も残っていると明かす。
“You’ll never completely shake that time. In bed, I lie so close to the edge that I almost fall out. When I sleep, even the largest mattress turns into a narrow cot. I’m not a psychologist, so I can only say that things were different before prison.”
（あの時間を完全に振り払うことはできない。ベッドでは端に寄って眠り、今にも落ちそうになる。どんなに大きなマットレスも、刑務所の狭いベッドに変わってしまう。私は心理学者ではないが、刑務所に入る前と後ではすべてが違ってしまった。）
新しい人生の章へ
現在、Beckerはイタリアに居住し、ポーカーとの関わりを保ちながら家庭生活にも力を注いでいる。4人の子を持つ彼は、妻で政治リスクアナリストのLilian de Carvalho Monteiroとの間に第5子を迎える予定だ。先月は夫婦でドイツ・ハンブルクのSport-Bild授賞式に出席し、新たな人生の一歩を踏み出している姿を見せた。
