DOJが懲役33〜41か月を求刑 370万ドルの没収も勧告
2012年WSOP(ワールドシリーズ・オブ・ポーカー)でセブンカード・スタッドを制したベテランプロ コリー・ザイドマン(Cory Zeidman) が、長年にわたるスポーツベッティング詐欺事件で 懲役33〜41か月 の実刑を求刑されている。
米国司法省(DOJ)の提出した量刑勧告書によると、ザイドマンは有罪を認めており、当局は 約370万ドルの犯罪収益の没収 を求めている。
ニューヨーク出身のザイドマンは、2004年から2020年 にかけて「インサイダー情報を持っている」と偽り、スポーツベッターを勧誘して高額な情報料を徴収していたという。検察は「ゼロリスクのベット」をうたい文句に、多くの被害者から資金を集めていたと指摘している。
被害者は21名 総額520万ドルの返還命令へ
量刑勧告書は、米国東ニューヨーク連邦地方裁判所のジョアンナ・セイバート判事(Joanna Seybert) 宛に、検察官ジョセフ・ノセラJr.(Joseph Nocella Jr.) によって提出された。
勧告では、ザイドマンが 21名の被害者に対し合計520万ドルを返還 するよう求められている。弁護側からは異議は出ていない。
最終的な判決はセイバート判事が下す予定で、10月7日 に宣告が行われる。現在、ザイドマンは拘束されていない状態で判決を待っている。
一度は無罪を主張 2年後に有罪を認める
ザイドマンは 2022年5月25日 にフロリダで逮捕され、USA Today や ESPN などのメディアで大きく報じられた。当初は無罪を主張し、声明では哲学者ニーチェの言葉を引用して「国家は嘘をつき、奪う存在だ」と語り、自身の潔白を強調していた。
しかし2年後の現在、ザイドマンは共謀および電信詐欺の罪を認め、量刑を待つ身となっている。
詐欺の手口:「インサイダー情報」で顧客を誘う
起訴状によると、ザイドマンはラジオ広告を通じて「特別なスポーツ情報」を提供すると称し、顧客を勧誘していた。だが、実際の情報は「虚偽、もしくはインターネット検索で得たもの」にすぎなかったという。
16年にわたる詐欺行為で、被害額は数百万ドルに上るとされる。
国土安全保障省ニューヨーク支局の特別捜査官 チャールズ・ウォーカー(Charles Walker) は声明でこう述べた。
「多くのスポーツベッターがザイドマンの助言を信じて金を賭けた。しかし本当の勝者は彼自身だった。嘘と強引な手口で人々をだまし、金を巻き上げていた。」
ポーカープロとしての栄光と転落
ザイドマンは、The Hendon Mob によると 通算ライブ獲得賞金は約70万ドル。
2012年WSOPの$1,500セブンカード・スタッド で優勝し、$201,559 を獲得した。このイベントには 622名 が参加し、マイケル・ミズラキ(Michael Mizrachi) が5位に入賞している。
また、2005年WSOPでジェニファー・ハーマン(Jennifer Harman) に対して「スローロール」をしたことで、一躍“悪名高い”存在となった。
かつてのチャンピオンが今や法廷に立つ身となり、
10月7日の判決日 を前に、ザイドマンのキャリアは重大な局面を迎えている。