放送後に状況が一変
WSOPのドキュメンタリーシリーズ《No Limit》は全八話構成で、最終話はまだ公開されていない。しかし先週、第五話と第六話でAIがアラン・キーティングの発言を合成していたことが明らかになり、作品への注目が別の方向へ向かった。制作を率いるダスティン・イアノッティが認めたもので、本人には事前に伝えられていなかった。キーティングがSNSで指摘した投稿は後に削除されたが、議論はすぐに広がった。
合成された内容の扱われ方
イアノッティによると、AIが使われたのは二つの短い場面で、合計は約十秒。キーティングがインタビューで話していた内容を基にテーマをまとめ、編集上の流れを良くする目的で合成したという。第五話と第六話は合わせて約五十五分となる。
第五話の十九分ごろには、相手を難しい場面に置くことを好むという趣旨の台詞がある。これは実際の発言をそのまま使ったものではなく、キーティングが現金ゲームで感じるプレッシャーや難しい状況に強いと語った内容を基にまとめたものだという。
第六話では、もう終わりなら現金ゲームを探しに行きたいと話す場面があったが、元の発言は現金ゲームに行くかどうかを軽く口にした程度だった。
イアノッティは土曜早朝の投稿で、こうした編集を行う前にキーティングと相談すべきだったと述べた。
Keatingが問題視した理由
シリーズではもともとキーティングがトーナメントについて率直な意見を述べる場面が紹介されていた。トーナメントはチェッカーのようで、現金ゲームがチェスに近いと語り、トーナメントが好きではないとも述べていた。これらは実際の発言である。
一方で、合成によって作られた台詞は本人が口にしていない内容であり、キーティングはその点を問題視した。
制作者の説明と背景
イアノッティはキーティングが登場する二つのエピソードが視聴者から好意的に受け止められていたと述べ、シリーズ全体の信頼性は保たれていると主張した。
彼はFull Tilt PokerやPokerStarsでの経験を持ち、2015年にはアーティザンズ・オン・ファイアを設立している。《No Limit》は20日間にわたり撮影され、700時間の素材が収録された。
Alex Keatingも不満を表明
問題が広がる中、別の出演者であるアレックス・キーティングも自身の回に疑問を呈した。番組に「偽の声」が使われたとし、文脈を欠いた編集もあったと主張した。これらの処理には同意していないと述べ、番組への関与を望まないと表明した。
イアノッティは、アラン・キーティング以外にAIを使った事実はないと説明し、今回の件は見落としだったとした。
反応が広がるポーカーコミュニティ
ポーカー界の反応は速かった。アラン・キーティングは短い返信を残し、それ以上語らなかった。
他の関係者やファンからは厳しい声が続いた。ヨルグ・ファーゲルバッケンは作品の信頼性に影響すると指摘し、ジョン・パーディは状況を驚くべき展開と表現した。DontBleffMeのアカウントは不快感を示し、制作側の姿勢を批判した。
最終話を前に続く議論
《No Limit》は残り二話が今週火曜と木曜に公開される予定となっている。後の編集部説明では、以前のバージョンで一部の台詞における「直接の引用か、合成か」という区別が正確でなかったため、表記を修正したと明らかにされた。シリーズは終盤だが、制作手法をめぐる議論は今後も続く見通しだ。
