ケニーの独走時代に終止符か
長年にわたり世界のトーナメント賞金ランキングをリードしてきたアメリカのハイローラー、ブライン・ケニー(Bryn Kenney)が、いよいよその座を脅かされている。現在の累計賞金は78,739,828ドルで依然トップに立っているものの、イギリスのスティーブン・チドウィック(Stephen Chidwick)とアメリカのジェイソン・クーン(Jason Koon)が急速に差を詰めており、2026年には記録が塗り替えられる可能性が高まっている。
ケニーは2019年の「トライトン・ミリオン・フォー・チャリティ」(Triton Million for Charity)で2位となり、事前のディールにより20,563,324ドルを獲得。これは今なお大会史上最大の単一キャッシュとして残っている。今年のWSOP(ワールドシリーズ・オブ・ポーカー)では高額イベントで2度のファイナルテーブル入りを果たしたが、年間賞金額は2022年以来最低のペースに落ち込んでおり、トップの座が揺らいでいる。
チドウィック、2025年に復活の年
スティーブン・チドウィックは静かにトップ争いを盛り上げている。現在の累計賞金は73,713,729ドルで、ケニーとの差はわずか500万ドルほど。2025年はすでに1,000万ドル以上を稼ぎ、2019年以来の最高ペースを記録。今年だけでケニーより約500万ドル多く稼いでおり、この勢いが続けば来年には逆転の可能性が現実味を帯びてくる。
クーンの安定感が光る
ポーカースターズのアンバサダーであるジェイソン・クーンも確実に上位へと近づいている。現在の累計賞金は68,959,006ドルで、トップとの差は1,000万ドルを切った。クーンは一撃の大勝よりも、毎年安定した成績を積み重ねてきたタイプ。2021年12月の時点ではケニーとジャスティン・ボノモ(Justin Bonomo)に約2,200万ドルの差をつけられていたが、この4年間でその差を大幅に縮めた。
元王者ボノモは後退 バジアコウスキも上位圏内
かつてケニーとトップ争いを繰り広げたジャスティン・ボノモは、現在65,611,097ドルで5位に後退。2024年末のWSOPパラダイス・スーパー・メインイベントで服装問題により失格となって以降、ライブトーナメントから遠ざかっている。一方、ベラルーシのミキータ・バジアコウスキ(Mikita Badziakouski)は65,707,194ドルで4位。今後のスーパー・ハイローラー優勝次第では再びトップ争いに加わる可能性がある。
2025年10月時点 ヘンドンモブ賞金ランキングTOP10
順位 | プレイヤー(英名) | 国籍 | 賞金 |
---|---|---|---|
1 | Bryn Kenney | アメリカ | $78,739,828 |
2 | Stephen Chidwick | イギリス | $73,713,729 |
3 | Jason Koon | アメリカ | $68,959,006 |
4 | Mikita Badziakouski | ベラルーシ | $65,707,194 |
5 | Justin Bonomo | アメリカ | $65,611,097 |
6 | Isaac Haxton | アメリカ | $60,648,098 |
7 | Dan Smith | アメリカ | $60,421,589 |
8 | Daniel Negreanu | カナダ | $56,924,697 |
9 | Phil Ivey | アメリカ | $54,211,083 |
10 | Adrian Mateos | スペイン | $54,057,572 |
新時代の幕開けか
ケニーがトップに立ち続けて約6年。しかし2025年の動きは明らかに違う。チドウィックとクーンが勢いを増し、賞金ランキングは再び混戦模様だ。今後もしトーナメント主催者が1,000万ドル級のバイインを設定すれば、優勝者が一気に1億ドルを超える賞金を得て史上最高額を更新する可能性もある。いずれにせよ、ケニーの牙城が永遠に続くわけではない。