リバーで大きなベットに直面し、相手が本当に強いのか、それともタイミングの良いブラフなのかを判断しなければならない。この局面をレクリエーションプレイヤーは「勘」で処理しがちだが、プロは「論理パズル」として扱います。彼らは特定の2枚を当てようとはせず、ブラフレンジ(bluffing range) 全体を分析します。
本稿では、ブラフレンジの構造、ポットオッズの数学、そして相手の行動から読み取れる情報を整理します。
ブラフレンジはどう構成されるか?
上級者のブラフは無作為ではなく、次の3要素から成り立っています。
- エクイティのあるセミブラフ:フラッシュドローやストレートドローなど、将来強ハンドに化ける可能性を持つ手。
- ブロッカー(Blockers):あなたがナッツを持つ確率を下げるカード。例えばボードにスペード3枚が並んでいる場面でスペードの A を持っていると、相手がナッツフラッシュを持つ可能性を大きく減らせます。
- ショーダウンバリューがないハンド:勝つにはブラフするしかない手。
レンジを絞るための3ステップ
1. プリフロップのレンジ
- UTG(アンダーザガン):非常にタイトで強いレンジ。リバーでランダムなハンドが残ることは少ない。
- ボタン/カットオフ:参加レンジが広く、自然なブラフ候補が多い。
2. ボードテクスチャの分析
- ドライボード(例:A-K-7 レインボー):ブラフが成立しにくく、プリフロップアグレッサーに有利。
- ウェットボード(例:9-8-6 2ハーツ):ドローが多く、未完成ならブラフ頻度が高くなる。
3. アクションの整合性
- チェックレイズ:強い完成ハンドまたは強力なコンボドローを示唆。
- トリプルバレル:極化されたレンジ(強いバリューか完全なブラフ)。
- 不自然なライン:ターンで弱さを見せたのに、リバーのブランクカードで大きくベットするなど。
ポットオッズで判断する
必要なのは「勝率が十分かどうか」であり、100%の確信ではありません。
例:
- ポット:100
- 相手のベット:50
- コール額:50
- コール後のポット総額:150
計算: 50 ÷ 150 = 33%
33%以上の頻度で勝てると判断できれば、コールは長期的に利益的です。
相手タイプを理解する
- ミスドローブラファー:フロップとターンで攻め、リバーでドローが外れた時にブラフする。
- ヒーローブラファー:大きなブラフを見せたいタイプ。
- オポチュニスト:ボードの「怖いカード」を見て単にベットする。
- ニット(Nit):ほとんどブラフしない。リバーでの大きなベットはほぼバリュー。
信頼できるテイルと誤解
- 手の震え:弱さではなく、強ハンドによる緊張(アドレナリン)であることが多い。
- タイミングテイル:即ベットは極化したレンジのことが多く、即チェックは弱さを示す。
- ベットサイズ:アマチュアはバリューで小さく、ブラフで大きく打つ傾向がある。
判断のチェックリスト
- プリフロップレンジと矛盾していないか
- ドローは外れているか
- ベッティングラインは一貫しているか
- ポットオッズはコールを支持するか
- ブロッカーを持っているか
まとめ
ブラフキャッチは超能力ではなく、位置・ボード・数学・行動という複数の情報を統合する作業です。レンジ思考を身に付ければ、感情ではなく論理で決断できるようになります。 全てのブラフを見抜くことは不可能ですが、論理に基づく決断を積み重ねることで、長期的には勝者になれます。







