裁判所が証言排除を却下、検察が重要証拠を使用可能に
米国の弁護士トム・ゴールドスティーン(Tom Goldstein)氏が、税務詐欺事件の予審で大きな痛手を受けた。連邦地裁のリディア・ケイ・グリグスビー判事が、2018年に入国時に行われた本人の発言を証拠から除外するよう求めた動議を却下。これにより、検察はこの発言を裁判で使用できることとなった。
約96万8,000ドルの現金を申告「ポーカーの賞金」と主張
検察によると、ゴールドスティーン氏は2018年10月、香港からワシントンD.C.に到着した際、96万8,000ドル(約1億4,700万円)の現金が入ったダッフルバッグを携帯していたという。税関で本人はこの現金を「世界各地のハイステークス・ポーカーゲームで得た賞金」と説明したが、後に米国歳入庁(IRS)には「借入金」として申告していたとされる。
捜査当局は、同氏が数年間にわたりポーカーで得た多額の利益を申告していなかったと主張。累計の未申告額は5,000万ドルを超える可能性があるという。
グリグスビー判事の判断
10月7日に出された裁定で、グリグスビー判事は「ゴールドスティーン氏は2018年10月25日の入国審査中、拘束状態ではなかった」と述べ、本人が主張した「ミランダ権の不告知による違憲性」を退けた。また、時効を理由に一部の訴因を棄却するよう求めた別の動議も同時に却下された。判事は「時効は被告が裁判の過程で主張すべき抗弁事由である」と指摘している。
追起訴状で新たな事実も明らかに
8月にはメリーランド州の大陪審が追起訴状を提出。新しい罪状は追加されなかったが、いくつかの新事実が加えられた。その中には、ゴールドスティーン氏がIRSへの協力を拒むよう一人の会社マネージャーを説得しようとしたとの記載もあり、1万ドルのボーナスや暗号資産による学費返済を提案したとされている。同氏はこの点についても、棄却を求める動議を提出している。
無罪を主張、来年1月に開廷予定
10月7日の起訴答弁で、ゴールドスティーン氏はすべての容疑に対して無罪を主張した。初回の起訴時と同じ姿勢を維持している。
今回の裁定により、検察は同氏がTSA職員に行った発言を裁判で証拠として使用できる。高額ポーカーと税務問題が交錯するこの注目の裁判は、2026年1月13日にメリーランド州南地区連邦地方裁判所で開廷予定。ポーカー界と法律関係者の間で大きな関心を集めている。