Triton Pokerはここ数年で、ハイステークス・ポーカーの代名詞として確固たる地位を築いた。驚異的なバイイン額と世界のトッププレイヤーを集めるだけでなく、圧倒的な演出と放送クオリティで「ポーカー界最高の舞台」と評されている。その中心にいるのが共同創設者でありCEOのアンディ・ウォンだ。2018年からブランドを牽引してきた彼は、今回韓国・済州島で行われた中額シリーズTriton ONEの成功をきっかけに、新たな展開へと踏み出している。
eスポーツからポーカーへ
ウォンは元々ポーカー業界出身ではなく、バックグラウンドはeスポーツにあった。彼自身も「キャリアをシフトしようと思ったわけではなく、偶然のチャンスだった」と語る。
2017〜2018年当時、フィル・アイビーやトム・ドワンといったスター選手たちは、テレビや配信には姿を見せず、マカオのプライベート・ハイステークス・キャッシュゲームでプレーしていた。ファンにとって最高峰のプレーを目にする機会が失われていたのだ。
このギャップに着目し、ウォンは「エリートプレイヤーが輝く舞台」を作ることを目標にTritonを立ち上げた。当初は30〜40名ほどのレギュラーで始まったが、現在では最長18日間に及ぶシリーズへと拡大。今年のTriton ONEメインイベントでは1,046エントリーを集め、大規模な成功を収めた。
スポーツとしての舞台演出
Tritonの象徴的な特徴は、単なるトーナメントではなく「スポーツイベント」として演出する点にある。決勝テーブル入場時のライトアップ、スモーク演出、チャンピオン決定の瞬間を盛り上げるステージングは他に類を見ない。
ウォンは「スポーツが魅力的になるのは、誰がプレーしているかにかかっている」と強調する。NBAにレブロン・ジェームズが存在するように、ポーカーもスターが舞台に立つことで初めて観客を惹きつけられるという考えだ。
さらに、独自のTriton+アプリも開発。視聴者は全ハンドを確認でき、ストリートごとに飛ばし見することも可能。コンテンツとデータが一体化したこの仕組みにより、ポーカー観戦はよりスポーツ中継に近い体験へと進化している。
創設メンバーの存在
ウォンは、Tritonがここまで成長できたのは「創設プレイヤー」の存在が大きいと語る。マレーシアのハイローラー、ポール・フアや、惜しくも亡くなったイヴァン・リョウはその代表格だ。彼らの投資と情熱が、立ち上げ期のブランドを支えた。
現在、リョウの名はTriton年間最優秀プレイヤー賞として残り、その功績が称えられている。創設メンバーの信頼とコミットメントこそ、Tritonの土台となった。
Triton ONE:コミュニティ拡大への挑戦
Triton Super High Roller Seriesは、いまや「ハイステークスの頂点」として世界的に認知されている。しかしウォンは、より多くのプレイヤーに門戸を開く必要性を感じていた。その答えがTriton ONEだ。
これは中額バイインを中心に設計された新シリーズで、アジア市場を意識している。米国市場がプロ主導であるのに対し、アジアでは「参加体験」を求める層が厚い。Triton ONEは、手の届くバイインとTritonならではの高級感を両立させることを目指している。
済州での初開催では、プロフェッショナルとレクリエーショナルが同じ舞台を共有し、1,000名超の参加者を集めた。Tritonはプレミアム感を損なうことなく、確実に裾野を広げている。
ポーカーを超えるブランドへ
ウォンの視線はすでにその先を見据えている。UAEでの新イベントや、米国での協業も視野に入れているが、最終的な目標は「ポーカーを超えたライフスタイルブランド」を築くことだ。
Tritonは単なるトーナメントではなく、ビジネス交流やラグジュアリー体験が交差する場になりつつある。実際に「Tritonしか出ない」と語るプレイヤーも多く、その忠誠心はブランドの独自性を裏付けている。
ウォンは「ディテールへのこだわりこそがTritonを特別な存在にしている」と結論づける。Tritonは今や、世界のポーカー・エコシステムの中心を目指す存在となっている。







