世界ポーカーツアー(WPT)が発表した新たなブランドアンバサダーは、ポーカー界のレジェンドではなく、一人のアマチュアプレイヤーでした。WPTと提携サイトClubWPT Goldが開催した特別プロモーションにより、サンフランシスコ在住のデータアナリスト、Spencer Gore氏が総額10万ドル相当のプロ契約を勝ち取り、一夜にしてポーカー界の注目の的となりました。
ラスベガス・ウィンで起きたドラマ
この人生を変える抽選会は、ラスベガスのWynn Las Vegasで開催中のWPT世界選手権フェスティバル期間中に行われました。ステージにはWPTのCEOであるAdam Pliska氏と、長年司会を務めるLynn Gilmartin氏が登場。有資格者が入った封筒の中からランダムに一枚が選ばれ、読み上げられた名前がSpencer Gore氏でした。
この瞬間、Gore氏は1年間の有給アンバサダー契約を獲得しました。契約総額は10万ドルで、その内訳は年俸5万ドルに加え、今後1年間のトーナメントバイイン(参加費)として使える5万ドルが含まれています。これにより、彼はPhil IveyやTony Dunst、Vince Van Pattenといった伝説的なプレイヤーたちと肩を並べ、WPTファミリーの一員となることになりました。
オンライン予選から掴んだチャンス
Gore氏のシンデレラストーリーは、ClubWPT Gold上のオンライン・トーナメントから始まりました。参加費わずか100チップ(100ドル相当)のこのトーナメントで上位100名に入り、ラスベガスで開催されるライブイベント「Mystery Quest Live」への出場権(シート)を獲得したのです。
Wynnで行われたこのライブイベントでは、賞金だけでなく、カスタム仕様のメルセデス・ベンツGクラス(Gワゴン)など豪華賞品も用意されていました。Gore氏は惜しくも高級車を逃しましたが、トーナメント自体では健闘を見せ、28位でフィニッシュ。賞金3,825ドルとミステリーバウンティを獲得しました。しかし、その後に待っていたアンバサダー契約こそが、彼にとって最大の「優勝賞品」となりました。
Spencer Gore氏のプロフィール
マサチューセッツ州出身でノートルダム大学を卒業したGore氏は、現在サンフランシスコでデータアナリストとして働いています。彼は自身を「プロではない」と語り、普段はフルタイムの仕事を持ちながら週末にポーカーを楽しむ、いわゆるレクリエーショナル・プレイヤーです。
彼によると、トーナメントポーカーを本格的に始めてからまだ1年ほどで、これまでのライブトーナメント獲得賞金総額は約3万ドルでした。今年初めにラスベガス行きのチケットを手にした際、彼は「心臓が止まるかと思った」と振り返り、その数日後にはネバダ行きの飛行機に飛び乗っていたといいます。
仕事とポーカーの両立へ
突然プロ契約を結ぶことになったGore氏ですが、今後はWPTアンバサダーとして世界中のツアーイベントに参加する必要があります。旅行好きだという彼は、世界を飛び回れるこの機会を「大きな特典」だと喜びを隠せません。
一方で、データアナリストとしての本業とWPTの活動をどう両立させるかが課題となります。Gore氏は「どう調整していくかはこれから考えなければならないが、両方を上手くこなしたい」と語り、仕事とポーカーの二刀流に意欲を見せています。
手元にある5万ドルのトーナメント資金は、彼が自由に使いたいイベントを選べる仕組みになっています。発表時点では、Wynnで開催されるバイイン10,400ドルのWPT世界選手権メインイベントに参加するかどうかは未定とのことですが、彼は「もっと自分をアピールし、挑戦し続け、ポーカーキャリアをさらに前進させたい」と抱負を語っています。







