ダラス市に高くついた敗北
ダラス市は Texas Card House(TCH)のダラス営業所を閉鎖しようと、数年にわたり多額の公費を投じてきた。2023 年だけでも、市議会は建築行政責任者アンドリュー・エスピノーザ氏の訴訟費用として 37 万ドル以上を計上。対象は使用許可証(Certificate of Occupancy、以下 CO)をめぐる TCH および市の調整委員会(Board of Adjustment、BOA)との争いだった。その後も 2024 年、2025 年に追加の税金が費やされた。
しかし、その努力は実を結ばなかった。州最高裁は金曜日、エスピノーザ氏の上告を受理しない決定を下し、3 年にわたる法廷闘争は事実上の終盤を迎えた。争点は TCH がダラスでポーカークラブを継続的に運営できるかどうかだった。
最高裁の判断で幕引きへ
州最高裁が上告を受理しなかったことで、2024 年 8 月の控訴審判決(TCH 勝訴)がそのまま確定した。Texas Card House のオーナーであるライアン・クロウ氏も、この決定がダラスをめぐる長期戦の終結を意味すると見ている。
訴訟期間中もダラス店は営業を続けており、今回の最高裁判断によって法的な安定性はさらに高まった。
争いの経緯
当初は routine な承認案件だったものが、長期の法廷闘争へと発展した。主なタイムラインは以下のとおり。
日付・期間 | 出来事 | 結果・注記 |
---|---|---|
2020 年 | 市議会公聴会で TCH のダラスにおけるポーカークラブ営業を承認 | CO(使用許可証)を交付 |
2022 年 10 月 | 市が TCH の承認を撤回 | TCH が BOA(調整委員会)に不服申し立て |
2022 年 10 月以降 | BOA が TCH の主張を支持 | 許可が復活 |
その後 | エスピノーザ氏が TCH および BOA を提訴 | この段階では市側が勝訴 |
2024 年 8 月 | TCH 側が控訴 | 控訴審で TCH が逆転勝訴 |
直近の金曜日 | エスピノーザ氏がテキサス州最高裁での審理を申請 | 最高裁が上告を棄却、TCH の控訴審勝利が維持 |
法的争点:使用許可証、レーキ、テキサス刑法 47.04 条
本件の中心は、TCH に交付された CO の発行・有効性が、テキサスの厳しい反ギャンブル法制の下で適法かどうかだった。
- エスピノーザ氏は、TCH の CO は「当初から誤って発行された」と主張。
- これに対し TCH 側は、撤回は「ロビー活動や、法の適用に合理的な争いが存在する部分での方針転換」に過ぎないと反論した。
下級審は一時、TCH が州の賭博禁止規定に抵触すると判断した。しかし、テキサス刑法 47.04 条には例外規定があり、ポットからの取り分(レーキ)を徴収しないことを条件に、ポーカークラブの営業が可能とされてきた。テキサスの適合店舗はこのモデルに則り、会員費や席料で運営するのが一般的だ。
問題は、条文解釈に揺れがある点だ。自治体関係者や一部の立法者は 47.04 条を異なる角度から読み、「料金形態にかかわらず公開ポーカーは違法」とみなす立場もある。もっとも、2024 年 8 月の控訴審判決は TCH の主張を支持し、今回の最高裁の棄却により、その結論が維持された。
業界からの後押し — The Lodge の支援
Texas Card House は孤軍ではなかった。オースティンとサンアントニオの間に位置する The Lodge Card Club(共同オーナーは Doug Polk、Andrew Neeme、Brad Owen)は、テキサスでポーカーを楽しむ権利を支持するアミカス・ブリーフ(第三者意見書)を提出。この連帯は、今回のダラス案件がテキサス全体のポーカー・エコシステムにとっていかに重要であるかを示した。
テキサスのポーカーに与える影響
Texas Card House は州内に 6 店舗を展開しており、その中でもダラス店は長らく市当局の厳しい監視にさらされてきた。州最高裁が介入を見送ったことで、控訴審での勝利が確定し、営業継続の基盤は一段と安定した。
今回の判断は、テキサス特有の会員制・席料モデルに関するすべての議論を解消するものではない。それでも、TCH にとっては明確な勝利であり、このモデルが適切に運用され得ることを示す前向きなシグナルとなった。テキサスのポーカーコミュニティにとって、今回の裁決は長期戦の終盤を意味し、ルールを順守するクラブにとって貴重な参考事例となった。