GGMillion$ファイナルテーブルで不正発覚
10月14日に開催されたGGPokerのハイローラートーナメント「GGMillion$」で、不正なリアルタイムコーチング(RTA)が発覚し、ポーカーファンの間で大きな話題となっている。
調査の結果、GGPokerアンバサダーのレン “トニー”・リン(Ren “Tony” Lin)と中国在住プレイヤー“RealOA”が規約に違反していたことが確認され、両者に対して厳しい処分が下された。
この1万300ドルのバイインイベントは、優勝賞金34万6,903ドルをかけたハイステークス戦。今回の処分により、賞金はGGPokerの返金ポリシーに基づき、アドリアン・マテオスやケルビン・ケルバーら被害プレイヤーに再分配された。
RealOAは永久追放、Linは無期限停止
GGPokerによると、“RealOA”はGGPoker、WSOP.com、そしてすべての提携プラットフォームから永久追放。口座に残っていた25万523ドルは没収された。
一方、ブランドアンバサダーのリンは、GGPokerおよびWSOP関連イベントから無期限の出場停止処分を受けている。
再配分された34万6,903ドルのうち、25万523ドルはRealOAのアカウントから、残りの9万6,380ドルはリン本人の負担によるもの。
リンは声明で「この件からいかなる利益も得ていない」と強調し、「プレイヤーの持ち分もなく、報酬も受け取っていない。利益は一切なかった」とコメントした。
不正発覚の経緯
問題を最初に公にしたのは、同イベントで3位(賞金21万3,273ドル)に入賞したプレイヤー“Buzzcut”(Xアカウント@yl333i)。彼は“RealOA”がファイナルテーブル中に画面共有を行い、リンらからリアルタイムで戦略アドバイスを受けていたと告発した。
その後、SNS上にスクリーンショットやチャット記録が出回り、リン本人も謝罪と事実関係を認めた。
リンは当時、WSOPサーキット・キプロス大会の休憩中にTencent Meetingの通話に参加しており、偶然“RealOA”がオンラインでプレーしているのを見かけたという。
「友人にハンドを聞かれ、反射的に意見を言ってしまった。リアルタイムの助言にあたるとは気づかなかった」と説明。
また「その時はセッション後のディスカッションだと勘違いしていた」と釈明し、「もし相手が同じことをしていたら、私は許さないだろう」と述べ、「深く反省しており、処分を受け入れる」と謝罪した。
GGPoker「公正な競技の維持を最優先」
GGPokerは声明「Our Message to the Poker Community(ポーカーコミュニティへのメッセージ)」を発表し、今回の件を受けて改めてプラットフォームの誠実性を強調した。
声明では以下の3つの方針を示している。
- 防止と検出:高度なモニタリングとハンド解析によって不正行為を検出。
- 即時対応:処分はGGPoker、WSOP、提携プラットフォーム全体に適用。
- プレイヤー保護:不正が確認された場合、被害プレイヤーに金銭的補償を実施。
また「個人間の通信を通じたリアルタイムアシストは完全に防ぐのが難しいが、検知体制を強化し続ける」とも明言した。
「競技ポーカーは信頼と公平性の上に成り立っている。我々はその基盤を揺るがす行為を絶対に許さない」と締めくくっている。
波紋広がる中での厳しい判断
今回の事件は、GGPokerが数週間前に発表した「Olive Branch Initiative」―過去にBANされたプレイヤーに再起の機会を与えるプログラム―の直後に発生。
コミュニティでは「寛容と厳罰」のバランスをめぐって議論が起きている。
現在、リンとRealOAの両名はWSOPのライブイベントからも出場禁止となり、World Series of Poker Paradiseにも参加できない。
WSOPインテグリティ・アンバサダーのフェドル・ホルツは以前、「RTAを使用するチーターはオンラインだけでなく、WSOPのライブイベントからも追放される」と明言していた。今回の処分は、その方針を現実のものとした格好だ。







