10年越しの遺恨マッチがついに決着
Barstool Sports創業者のDave Portnoyと、同僚のEric “Barstool Nate” Nathan(以下、Nate)による長年の犬猿対決がついに火を吹いた。DraftKings提供の「King of the Felt」で行われた$20,000バイインのウィナー・テイク・オールのヘッズアップ。$40,000のプールを懸けた一戦は、最終的にPortnoyが勝ち切った。
配信はピークで同時視聴者数17,000人超を記録。ブラインド$100/$200で幕を開けたマッチは、慎重なライン取りから首をかしげる意思決定まで目白押し。なかでも解説席があ然とした“歴史級”のフォールドが生まれた。
前哨戦:BarstoolのYouTubeでフリーロールSNG
前夜、Barstool SportsはBarstool GamblingのYouTubeチャンネルで、スタッフ向けの3卓・18人フリーロールSNGを開催。PortnoyもNateもイン・ザ・マネーならず。ただしPortnoyは、5♦A♥6♦のフロップでA♦K♥を持ちながらオールインに正確にフォールド(相手はボトムセット)し、存在感を見せた。優勝はEthan Kampsで$30,000を獲得。
経験 vs. 直感
ワールドシリーズ・オブ・ポーカー(WSOP)の常連であるNateは、ライブの実績で上回る。一方のPortnoyはオンライン・ブーム期—2000年代のPartyPoker世代—の出身だが、ライブ経験は限定的。試合前のインタビューでNateが予想した“破天荒なプレー”とは裏腹に、Portnoyの立ち回りは落ち着いていた。
序盤はNateが主導権。だがPortnoyは、ガットショットとJハイでターンにミニチェックレイズを決行し、Aが落ちたリバーで$2,000を撃ち込んで、Nateのトップペア(テン)を下ろす巧手を披露。
珍場面もあった。Portnoyがうっかり(?)自分のハンド—10♦8♠—を口にし、配信ブースには聞こえたがNateは気づかず、という一幕。フロップは3♠8♥6♥。トップペアのPortnoyがポット超えの$600をベットし、NateはA♣3♥でコール。ターン7♣後の$600に対して、解説のBrent Hanksが「Nate、彼は自分のハンドを言っちゃってるぞ」と“救出要請”。このときはNateがフォールドしたが、すでにチップは減っていた。
直後のボード10♠4♣9♥5♣で、Nateは6♣2♣から$600、Portnoyは9♠4♥で$1,200にレイズ。リバー8♣でNateのフラッシュが完成。Portnoyは$1,000ベットから$3,500のレイズにコールしてビハインドに。ここでNateが2:1超のチップ優位に立つ。
次局は両者ともトップペアをヒットするも、キッカーでNateが上回る展開。ターンでAが落ち、Portnoyが小さく$400を打つと、Nateはベストハンドをフォールド。解説席は再び首を傾げた。
そして分岐点。Nateが8♦4♦で$400のオープン、Portnoyが5♥2♣をディフェンス。フロップ10♦2♦3♥にNateが$400コンティニュー、コール。ターン3♥でボードがペアると、Portnoyがデュースで$1,000をドンク、Nateはダイヤドローでコール。リバー5♦でNateがフラッシュ、Portnoyはツーペアに。Portnoyの$1,000に対しNateは$4,000のレイズ。Portnoyは強いフォールドを見せたが、スタックは3:1の劣勢へ。
噛み合わない展開からの急転直下
奇妙なシーンは続く。ボード9♦8♣2♦9♥6♣、ポット$2,800の状況で、Portnoyは9♣4♣のトリップスを持ちながら、リバーアクション前にハンドをマック。K♦8♥を持つNateは困惑しつつ、無競争でポットを獲得。
ゲームのテンポに苛立った両者は、ブラインドを$100/$300に引き上げることで合意。これがPortnoyの反撃に火を点ける。ダイヤ4枚ボードでのローフラッシュながらNateのフラッシュを上回って差を縮め、直後にはNateのトリップスに対してリバーでフラッシュを完成させ、$5,600のポットを射止めた。
そしてハイライトに残る一手。プリフロップ$1,000まで上がったポットで、NateはK♠K♣、PortnoyはK♦9♥。フロップ4♠5♦9♠。Nateが$700のCベットに対し、Portnoyは2アウトの状況で$1,700へレイズ。Nateはコール。ターン10♣はチェック—$1,000—コール。リバー3♣は一見ブランク。同じ流れでNateがチェック、Portnoyが$1,000。ここでNateは長考に沈む。
「これフォールドしたら、僕の人生で見た中でも最悪級のフォールドだよ」とHanks。数秒後、カードはマックへ。「ポーカー史上最悪のフォールドだ」とまで言い切った。
PortnoyはK♦9♥をオープンし、序盤以来のリードを奪回。Nateは明らかに動揺し、プレーヤーは小休止に入った。「今のは完全なる惨事だ」とHanks。
舞台裏でPortnoyは心理戦を強調。「俺はメンタルのいじめっ子だ」と解説のBen Mintzに語り、「あれは間違いなく総叩きに遭うだろう」と続けた。
主導権はPortnoyへ?
キングスの一件でNateは揺らぐ。解説陣(Brent Hanks、Ben Mintz、Jeff Platt)もメンタル面のダメージを指摘。それでもNateは、$2,000のリバーベットに対して自分のフラッシュを上位フラッシュに読み替え、シャープなフォールドを見せて反撃の糸口を探る。
流れは再び行き来。NateがKハイのブラフで大きめのポットを奪い、Portnoyのミドルペアを下ろしてスタックはほぼ原点に。
やがてNateに勝負を決める大チャンス。ボードQ♥5♠7♠10♥、NateはQ♣J♦で$4,000のポット、対するPortnoyは7♦4♦でオールイン。実質4アウトの劣勢だったが、Nateは長考の末にベストハンドをフォールド。「プレーがとにかく受け身。明らかにコーチングは受けていないね」とHanks。
開始から3時間、両者は加速に合意し、ブラインドは$200/$400へ。これがPortnoyの猛攻に拍車をかけ、たちまち3:1のリードを築いた。解説のトーンは次第にNateのライン取りに厳しくなり、Mintzも辛口コメントを重ねる場面が増えた。
終幕:オファー拒否からの一撃オールイン
差が開く中、PortnoyはNateに“$20,000の支払い免除で降参していい”という提案。推定9桁資産の男ならではの余裕の一手だったが、Nateはこれを拒否。その後も劣勢は拡大し、解説席からは「もう集中が切れている」「諦めてしまったのでは」との声。
フィニッシュは、NateのA♠9♣がフロップでトップペアを作るも、Portnoyがターンでストレート完成という形。ポット$3,200でNateが$1,200、Portnoyはミニレイズ$2,400、さらにオールインまで踏み込む。前哨戦から舌戦を交わしてきた両者は、最後は握手で締めくくり、Portnoyが勝負を決めた。
締めにPortnoyは、勝ち取った$20,000を“ルーレット一発”に乗せ、当たればNateに返すという余興も提案。結果はPortnoyのまま。キャッシュも、そして自慢の権利も、全て彼の手に残った。
結果とペイアウト
- フォーマット:ヘッズアップ、各$20,000バイイン、ウィナー・テイク・オール
- ブラインド:$100/$200で開始、その後$100/$300、さらに$200/$400へ引き上げ
- ピーク同時視聴者数:17,000人超
- 配信:DraftKings提供「King of the Felt」
プレイヤー | 結果 | 損益 |
---|---|---|
Dave Portnoy | 優勝 | +$20,000 |
Eric “Barstool Nate” Nathan | 準優勝 | -$20,000 |