ツーペアではチェックバック。
一方で、フラッシュが完成したリバーではトリップスでレイズ。
一見すると逆の判断にも見えますが、どちらも正解になり得ます。
違いを生むのは、ハンドの見た目の強さではありません。
自分より弱いどのハンドが、あとどれだけコールしてくれるか。
リバーのバリューベットで本当に重要なのは、ここです。
flopやturnでは明確にバリューがあったハンドでも、riverの1枚によって追加のベットが難しくなることがあります。逆に、それまで控えめなショーダウンバリューしかなかったハンドが、riverでthin value raiseを狙えるほど強くなることもあります。
つまり、考えるべきなのは単純に、
「自分のハンドはどれくらい強いか?」
ではありません。
本当に聞くべきなのは、
「自分より弱いどのハンドが、ここでコールしてくれるのか?」
という質問です。
ここでは、$100NL Zoomで実際にプレイされた2つのハンドを使って、強いハンドでriverのバリューを取り切るべき場面と、逆にブレーキをかけるべき場面を考えていきます。
強いハンドでも、Riverまで同じ価値が続くとは限らない
ポーカーのハンドの強さは相対的です。
あるボードではレンジ上位に位置するツーペアでも、別のボードでは大きなアクションに対してブラフキャッチャーに近い役割しか持たないことがあります。
トリップスも同じです。
riverでフラッシュが完成していても、相手のレンジに十分な数の弱いハンドが残っていて、それらがベットやコールを続けるなら、トリップスでレイズする価値が残ることがあります。
だからriverでは、「ツーペアだから強い」「トリップスだからレイズ」といった役だけで判断してはいけません。
まず見るべきなのは、相手がどのレンジでriverまで到達したのか。
そこからさらに、相手がどのハンドでコールし、フォールドし、レイズするのかを考えてレンジを絞り込んでいきます。
ここには大きな違いがあります。
相手のレンジ全体に対して勝っていることと、ベットに対して相手が続行するレンジに勝っていることは同じではありません。
Hand 1:ツーペアでも、Riverでバリューが消えるとき
BTNで A♦J♦ を持っています。
ゲームは$100NL Zoom。BBは$1です。
BTNから$2.25にopenすると、アクティブなレギュラーがBBから$10に3-bet。こちらはコールします。
potは$20.50。
flopは、
A♠ K♦ J♠
BBはチェック。
こちらはツーペアですが、このボードではAJというハンドの絶対的な強さだけで判断することはできません。
すでにストレートが存在し、強いドローもあります。さらに、両者のレンジには非常に強いmade handが含まれていても不思議ではありません。
こちらは$13.64をベット。
Villainはコールします。
turnは 6♥。
potは$47.78。
Villainは再びチェック。
この時点では、まだ十分にバリューを狙えます。
こちらより弱いmade handが続く可能性があり、ドローも残っています。また、riverによっては追加のバリューを取りにくくなるカードもあります。
こちらは$22.70をベット。
Villainはコール。
potは$93.18になります。
riverは 8♠。
Villainはチェック。
ここで、turnまでは比較的分かりやすかったバリューベットが、一気に難しい判断へ変わります。
Riverで変わるのは役ではなく、誰がまだコールしてくれるか
AJはまだ KJ、A8s、A6s などに勝っています。
これらはバリューを取れる候補です。
ただし、「どのハンドに勝っているか」を確認するだけでは不十分です。
次に考えるべきなのは、
これらのハンドがどれくらいの頻度でこのラインを通ってriverまで来るのか。
そしてさらに重要なのは、
riverでもう一度ベットしたとき、本当にコールしてくれるのか。
という点です。
8♠によって、flopから存在していたフラッシュドローが完成しました。
同時に、AK、set、その他のより強いバリューハンドもVillainのレンジに残っています。
ここで2つの質問を分けて考える必要があります。
Villainがチェックしたレンジ全体に対して、こちらは勝っているのか?
そして、
こちらがベットし、Villainがコールした後のレンジに対しても勝っているのか?
最初の質問には「おそらくYes」と答えられても、2つ目まで同じとは限りません。
たとえば、Villainが弱いAxを多くチェックしていたとしても、それらが3発目に対してほとんどフォールドするなら、ベットしてもバリューは増えません。
一方で、フラッシュやより強いmade handの多くが続行するなら、ベットすることでこちらが勝っているハンドだけを降ろし、負けているハンドからだけアクションを受ける形になりやすくなります。
その場合、チェックバックの方がショーダウンバリューを保ちやすくなります。
実際、Villainは A2 をshow。
AJが勝ちました。
ただし、相手が弱いハンドだったからといって、riverでベットすべきだったとは限りません。
バリューベットが成立するためには、相手が弱いハンドを持っているだけでは足りません。
その弱いハンドが、こちらのベットに対してコールしてくれる必要があります。
Showdownで勝ったからといって、Valueを逃したとは限らない
これはriver分析で非常によくある勘違いです。
チェックバックした後に相手の弱いハンドを見ると、
「ベットすればよかった」
と思いがちです。
しかし、それだけでは判断できません。
仮に相手がriverに、
弱いコンボを10個、
強いコンボを6個、
持っているとします。
弱い10コンボすべてがコールしてくれるなら、バリューベットは非常に魅力的です。
しかし、弱い10コンボのうちコールするのが2コンボだけで、強い6コンボがすべて続行するなら、状況はまったく変わります。
相手のレンジ全体には大きく勝っていても、追加のお金を入れてくるレンジに対しては不利ということがあり得ます。
だからriverのバリューベットでは、
「今どちらが勝っていそうか」
だけではなく、
相手のコールレンジがどうなっているか
を見る必要があります。
Hand 2:フラッシュ完成でも、Valueが消えるとは限らない
2つ目のハンドは、ほぼ逆の展開です。
BTNで A♦7♥ を持っています。
$2.70にopen。
SBから、loose寄りに見えるrecreational playerがコールし、BBはフォールドします。
flopは、
K♠ J♣ 5♠
potは$6.40。
Villainはチェック。
A7はここでは比較的弱いハンドです。
こちらは$4.26をベット。
これは典型的なバリューベットとは考えない方がよいでしょう。
小中サイズのpocket pairにプレッシャーをかけたり、まだ十分なエクイティを持つハンドをフォールドさせたり、その場でpotを取れる可能性があります。
また、一部のドローにはまだこちらが勝っています。
Villainはコール。
turnは 7♦。
Villainは再びチェックします。
こちらはpairになり、ショーダウンバリューを持つようになりました。
一方で、こちらより強いハンドの中から、2発目で十分な数をフォールドさせるのは簡単ではありません。
もう一度バレルする魅力は下がります。
ここではチェックバックが自然です。
riverは 7♠。
こちらはトリップスに改善します。
同時に、flopからのフラッシュドローも完成しました。
Villainは$14.92のpotに対して、$7.09をリードします。
ここでの選択肢はベットかチェックではありません。
コールかレイズか。
Draw完成は、Thin Valueの終了を意味しない
3枚目のspadeが落ちると、すぐにフラッシュへ意識が向きます。
もちろんフラッシュは重要です。
ただし、フラッシュが作れるボードだからといって、Villainのレンジがフラッシュだけになるわけではありません。
また、比較的小さいriverのサイズだからといって、フラッシュがないと決めつけることもできません。
強いハンドで小さいサイズを使うプレイヤーもいます。
このサイズから得られるのは、断定ではなくレンジを見直す材料です。
VillainはKxやJxでもこのサイズを使うのか。
それらのハンドで少しバリューを取りたいのか。
こちらにチェックバックされる前に、自分からバリューを取りにいきたいのか。
そうした可能性を検討します。
turnでこちらがチェックバックしたことも重要です。
7♦で2発目を打たなかったことで、こちらのレンジは継続してバレルした場合より弱く見えやすくなっています。
そのためriverでレイズしても、必ずしもナッツばかりには見えません。
その結果、弱いmade handがブラフキャッチしやすくなる可能性もあります。
ここで本当に考えるべきなのは、
自分より弱いハンドが、十分な数だけレイズをコールしてくれるか?
という点です。
こちらは $23 にレイズ。
Villainは K-T でコールします。
トリップスが勝ちました。
大事なのは結果ではなく、Raiseする理由
結果だけを見ると、間違ったルールを作ってしまいがちです。
トリップスでriverの小さいベットを受けたらレイズすべき。
これはこのハンドの教訓ではありません。
Villainのレンジが変われば、判断も変わります。
もしVillainがriverでほぼフラッシュやfull houseしかベットしない相手なら、トリップスでレイズするのは非常に危険です。
逆に、top pairで小さくベットすることが多く、レイズに対してもコールしすぎる相手なら、同じトリップスが非常に良いthin value raiseになる可能性があります。
こちらのハンド自体は変わっていません。
変わるのは バリューの基準 です。
Thin valueは、かなり相手依存の判断です。
弱いハンドが多く続行してくれるほど、こちらはより広いレンジでバリューベットやレイズができます。
逆に、相手の続行レンジが強いハンドばかりに偏るなら、チェックやコールの価値が上がります。
リバーのBet Sizingは証拠ではなく、ヒント
2つ目のハンドには、ベットサイズについての重要なポイントもあります。
サイズは特定のハンドの可能性を上下させる材料にはなりますが、相手のハンドを断定する証拠にはなりません。
次のような決めつけは危険です。
- 小さいベットは弱い。
- 大きいベットは強い。
- フラッシュなら必ず大きく打つ。
- Recreational playerはtrapしない。
どれも単純化しすぎです。
サイズはレンジ分析の一材料として使うべきです。
どの弱いハンドがこのサイズを選びそうか。
どの強いハンドでも同じサイズを使う可能性があるか。
この相手に一貫したサイズの傾向があるか。
そのうえで、更新したレンジに対して自分のハンドがどの位置にいるかを判断します。
RiverでValue Betする前に確認したい4つの質問
強いもののnutsではないハンドでriverに到達したら、追加でチップを入れる前に4つ確認してみてください。
1. どの弱いハンドがCallする?
具体的に名前を挙げます。
単に、
「もっと弱いハンドがコールする」
で終わらせてはいけません。
実際にどのハンドの種類やコンボがコールするのかを考えます。
現実的なバリューターゲットを見つけられないなら、そのベットはそもそもバリューベットではない可能性があります。
2. どの強いハンドが続行する?
次に反対側を見ます。
どの強いハンドがコールするのか。
どのハンドがレイズするのか。
riverで目立つドローが完成すると、「こちらより弱くて払ってくれるハンド」と「こちらより強くて続行するハンド」のバランスが大きく変わることがあります。
3. それまでのActionから何が分かる?
riverの1枚だけを見てはいけません。
preflopのaction、flop sizing、turnのcheck、それまでのcallはすべて、riverまで残るレンジを絞る材料です。
Riverでハンドが最初からやり直しになるわけではありません。
4. Raiseされたらどうする?
この質問は見落とされがちです。
thin value betは、ベットする瞬間だけ見ると魅力的に感じることがあります。
しかし、
レイズされたらどうするのか?
まで考えると、評価が変わることがあります。
riverでほとんどbluff-raiseしない相手なら、レイズを受けるリスクは重要です。
逆に、相手がレイズしなさすぎて、コールしすぎるタイプなら、より積極的にthin valueを取りにいける可能性があります。
1手先まで考えておけば、少しバリューを取りたいだけだったのに、高額な難しい判断へ巻き込まれるのを避けやすくなります。
ベストハンドでも、もう一度Betする必要はない
この2つのハンドでは、最後の判断が正反対になりました。
1つ目はツーペアでチェックバック。
Villainが追加のアクションを続けるレンジまで考えると、3発目のバリューが薄くなっている可能性が高いからです。
2つ目はトリップスでレイズ。
Villainがまだ弱いハンドでベットでき、その一部がレイズにもコールする可能性があるからです。
違いは勇気ではありません。
ツーペアやトリップスという役の響きでもありません。
本当にバリューを決めるのは、
自分より弱いハンドが、あとどれだけチップを入れてくれるか。
これがriver value bettingの核心です。
次に強いハンドを持って、もう一度ベットしようとするときは、
「自分がたぶん勝っているか」
だけを考えないでください。
本当にそのベットが利益になるかを決める質問を先に考えます。
自分より弱いどのハンドが、ここで本当にコールしてくれるのか?







